こんなにざわざわするなんて思わなかった

旅館を改装した美術館。窓が切りとる景色に思わず足と目が止まる。

歌川国芳の浮世絵を集めた美術館。国芳の浮世絵は美人画とか風景画とは違って、まるで劇画だった。

物語のハイライトシーンを、ドラマチックに大きな動きで切りとった作品の数々。ちゃんと登場人物や物語の語りや解説まで添えられているものも。

冒険物語の派手な挿し絵をみて、次のページを早くめくりたくなるような、少し焦るようなわくわくするような、怖いような。そんなざわざわが心にわきあがる。

そのダイナミックな構図とデフォルメに、漫画や映画を観ている気分にもなる。これが浮世絵だと思うと気が遠くなる。絵じゃなくて版画なのだから。

 

浮世絵って、とっても静かな情景か、江戸時代の町の喧騒まで聞こえてきそうな作品が多いと、いつも思っていたけれど、国芳の作品からは、背景に流れる音曲や効果音まで聞こえてきそうだった。