棚田と墓地




春日集落の棚田 丸尾山より
山の斜面を拓いた棚田が見渡せる。江戸時代の絵図にはすでに描かれていた棚田。




丸尾山のキリシタン墓地



丸尾山


2018年に世界遺産に登録された、長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産のひとつ、平戸の春日集落。

江戸時代のキリスト教禁教後も、集落ではキリシタンの共同体が維持され、ひそかに信仰を守り続けた。信徒発見後も春日集落の人々はカトリックに復帰はせず、潜伏中の信仰を実践したという。

禁教後、国内にカトリックの司祭が誰ひとりいない状況で、密かに、キリスト教の信仰を捨てずに代々口伝で守り抜いた例は世界に類をみないらしい。

自然崇拝や仏教神道の精神性ともまざりあいながら、200年8代以上にわたって伝わるうちに、純粋なカトリックのそれとは大分形を変えていったことは容易に想像できるし、潜伏を解きカトリックに復帰することに意義を感じなかったのではないか、とも思う。
もしかしたら、カトリックとも、仏教や神道とも違う、まったく別の新しい宗教とも言えるものになっていたのかもしれない。

現在は、集落の宗教的共同体もほぼ消滅してしまっているそうだが、集落の精神的な共同体は機能していて、江戸時代から守られてきた棚田を共同で維持したり、集落の案内拠点の運営をしたりと、集落の歴史や風俗をを守り伝える重要な役割を果たしている。

案内拠点「かたりな」では、コロナ禍ではあるものの、お茶やお漬物を振る舞い、集落や棚田、庭の花などについても語ってくださるおばちゃまが。
楽しい時間だった。

丸尾山は、棚田が見渡せるよーと教えられ、登ってみたら、なんとここはキリシタンの墓地遺跡…だったみたい。

今回の旅は、よくお墓に登る旅だった。意図したことではないのだけれど、結果的にこうなっていた、というお話。

バチはあたらないよね? 220723