田園風景の中に茅葺き屋根の古い家。一部のみ移築された、北里柴三郎の生家。二部屋のみが残されている。屋根にはタンポポが咲いていてなんだかほっこり。
2024年に新しく発行される1000円札の肖像画になる人物。
北里柴三郎は1953年、ペリーが来航した年に熊本県小国町北里村の庄屋の生まれ。後に細菌学者として、さまざまな功績をのこした。破傷風菌の発見や血清療法でも知られるよね。
新札の発行にあわせて、記念館が整備されたというニュースをだいぶ前に見た記憶があり、訪ねてみた。
🅿️に入ると、素敵なおじさまが出迎えてくれた。名刺をいただくと北里英郎さん。お医者様をしていらした柴三郎の曾孫様。ニュースで拝見した方ご本人でした。驚きなのは、館内の案内ではなく、駐車場で見学者を出迎えてご挨拶してくださったこと。
こういうのって一気に気分が上がるよね。
北里文庫
1916年に柴三郎が北里への恩返しとして建設し、寄贈した図書館。裏には蔵があり、当時の本も保管されていた。100年以上前の建築。屋根の形もデザインもお洒落。
北里文庫の文字もかわいらしい。この北里文庫、熊本県の県立図書館に次ぐ規模だったらしい(当時ね)。
生まれ育った北里村のために有益なこととして図書館建設を決めたらしいけれど、この北里文庫の『北里』は北里村の北里です、と落成式で話し、村の子どもたちのみならず全ての人が学び、憩う場となることを望んだらしい。
その正面には柴三郎夫妻が落成時に植えた杉がそびえていた。
となりには、小国杉で建てられた和風建築の迎賓館。数ヶ所のみ板の張り替えが行われただけで、ほぼ建設当時のまま残っている。
ここにはコッホなども訪れたらしいから、こんな山奥に~しかもそんな時代に~と、またびっくり。
1000円札には、弟子だったという野口英世が先に肖像画になったけれど、柴三郎も義に厚い立派な人物だったんだね。ドイツから帰国して伝染病研究所をつくった時に、近隣の無理解な反対に対して、自分の息子をそこに住まわせ、安全性を示してくれた福沢諭吉への恩返しとして、慶應義塾の医学科創設に尽力し無償で、医学科長を十数年務めたそう。
福沢諭吉もすごいけれど、後年それに酬いた柴三郎もすごい。
日頃の生活では一番お世話になるお札だから、人となりが知れて良かった。
銅像の下が、ベンチっていうのも素敵。
もうじき、敷地内に新しい展示館が新設されるらしい。