イチョウ 銀杏木 公孫樹 231126
山あいの町の、大きな大きなイチョウの木。集落のどこからでも見えるほど。
山の高さの半分ほどまである、その圧倒的な大きさとただならぬ威厳に、神社か何かかと思って立ち寄ってみたら。
今は誰も住まなくなった私有地らしい屋敷の奥の裏山に、おそらく樹齢は数百年…であろうと思われる堂々とした佇まいで、静かに立っていた。(ご近所のかたが、屋敷の手前で写真を撮られる方は結構いますよ、と教えてくれたので、ちょっとだけお邪魔してみた)
民家の屋根の数倍の高さに枝を伸ばし、広げ、集落を見守る姿に、なんだか命の尊厳みたいなものを感じた。
思わずありがとうと言いたくなる感覚。不思議な感覚だった。
ところで。
イチョウって、もちろん雌雄異株で裸子植物ってことは知ってはいたけれど。それ以外は何も知らない。
実がなるときはかなりのにおいで気付くけれど、花って見たことないなあ…とも思い調べてみたら。
雌花には花びらがなく、落花しない。その代わり、雄花は大量の花粉をまくために大量に花が咲く。4月の中頃には、花粉をまき終えた雄花が、男木の下に大量に落下しているのだそう。(あんまり気にしたことなかったなあと、イチョウに謝りたい気分)
そして、雌花にたどり着いた花粉は何と、熟した雌花にわずかに溜まった水のなかで精子を作り、受精してあの銀杏の実がなるんだって。
生物が水中から陸上に生きる場を移す過程で、植物は花粉で受精する方法を選び進化してきたけれど、イチョウはその点を進化させなかった、ということみたい。わかったような気になつているけれど、実はよくわかっていない。
まあ、それでいい。
銀杏は美味しいし、イチョウは青葉の時も黄色く色づいていく様も、黄色くなった時もどんな時期も美しい。
葉を落とした後さえも、樹形の美しさにハッとする。特に男木の、空に向かって伸びる枝。葉が芽吹く前の方が好きかも。
そして女木は大抵、枝を横に広げるように大きくなるんだって。
花言葉は「長寿」